IT/Tech業界にいれば買収のニュースなんてよく聞く気がするけれど、自分の働いている会社が買収されることを考えながら仕事してる人は少ないと思う。

まして、会社自体がなくなることを考えながら仕事してる人はもっと少ないと思う。

客観的に見れば、会社が買われることは悪いことじゃないはず。けどやっぱり、買収や吸収合併というのはスタートアップにとって、特に中にいる人間にとっては、バッドエンドの一つなんだと思う。そういう人もいるんだろうけど、少なくとも僕のまわりで会社を失うことを目指して起業してる人はいない。

だからやっぱり、バッドエンドなんだと思う。

別に自分はこの会社を作った創業者じゃないし、2015年に入ったときにはユーザ規模でいえばすでに圧倒的に負けていた。
会社もサービスも大きくなるにあたって何を貢献した人間でもない。
だから会社がなくなることについて、偉そうに感傷に浸るのもおかしな話かもしれない。

それでも、良い場所だと思って入ってきたこの場所が、失くなってしまうと考えると苦しい。

思えばこの3年半で、自分がなにか素晴らしいものの一つでも作れたのかと考えると自信を持って言えるものがない。それどころか、2012年にエンジニアになってから、なに一つ世に残るものを創れていない。

30歳に向けて、なにか新しいチャレンジを、より高いチャレンジをと思って来た場所で、3年半経って未だ何も成し遂げられていない。

だから、辞めるという選択肢もあったけど、辞められなかった。
今辞めたらこの3年半を全部捨ててしまう気がして。
残ったサービスとチームをちゃんと次に繋げきらないと、この3年半と人生そのものを振り返れなくなる気がしている。

そもそも、変化を起こしたくて生きているはずなのに、望まない変化が起きたことで心をおられるわけにいかない。ここ半年の変化はたしかに急速で、ものすごいフラストレーションではあったけど、変化が理由で諦めることだけはあってはいけない。

すべてが絶望に塞がれているわけでもない。
残ったメンバーがいるし、新しいメンバーもいる。
反省は必要だけど、悔やむだけなら生きてる価値もない。
続ける決めたのは自分だから、自分で前に進み続けるしかない。
むしろ、自分の心さえおられなければ前に進み続けられる。

会社がなくなっても、今やるべきことは変わらない。
先週の金曜日、座ってた席と同じ席で新しい1週間が始まるだけ。

だから、これまでと同じようにお付き合いいただけると嬉しいです。

2018.06.30
huin